ダークプールとは、取引所の売買板を通さずに、トレードを可能にする取引システムのことです。
一般的に「ダークプール」といわれていますが、正式には「Dark pool of liquidity」のことをさし、顧客注文の「見えない流動性」を意味します。
日本においては、2007年に外資系証券会社が機関投資家向けにサービスを始めました。現在も証券会社が中心となって、機関投資家などの大口投資家向けに提供しているサービスです。
ダークプールは売買が成立するまでの気配情報が見えず、匿名性が高いという特徴があるほか、通常の取引所よりも注文価格を細かく指定できます。市場価格よりも有利な価格での取引や、取引手数料の削減も可能です。
ダークプールのメリットは、大口投資家が相場を動かすことなく、多量の仮想通貨を売買できることです。
例えば、大口投資家がビットコインを大量に売りに出すときに、通常の取引所の売買板を使うと、明らかに大口投資家が売りに出したことが分かってしまいます。
一般投資家は、市場をコントロールされている印象を受けます。その上、売り注文がなくなるまで価格が上がらなくなるため、相場が冷え込む原因になりかねません。
また、成り行き注文でビットコインを売った場合、売買板に出されている注文が大量に約定されていくことになるので、状況によってはビットコインの暴落を引き起こす原因になってしまいます。
大口投資家としても価格の下落は避けたいところなので、通常の取引所の売買板では、大量のビットコインを売ることは現実的ではありません。
一方、ダークプールでは取引所を通さずに取引を行うため、匿名性の高い取引が可能です。注文は独自のマーケットで行われるので、ダークプールでの売買は相場に影響を与えません。
ブロックチェーンに取引が記録されるため、完全な匿名性の実現は難しいですが、注文量を一時的に隠すことも可能です。
ダークプールは、市場に影響を与えずに売買したい大口投資家に、需要の高い取引システムです。一般投資家を対象としたダークプールも出てきてはいますが、仮想通貨市場においては、発展途上段階といえるでしょう。
メリットの多いダークプールですが、国内の仮想通貨市場においては、ダークプール取引を提供している仮想通貨取引所はありません。
ダークプールは匿名性が高いため、仮想通貨取引の透明性が失われてしまいます。未成熟のマーケットでは、犯罪に利用されるケースも少なくありません。
日本では仮想通貨の法整備を整えている段階のため、今後も国内仮想通貨取引所において、ダークプール取引ができる取引所が現れる可能性は低いでしょう。
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