想像より簡単!?仮想通貨取引にかかる税金を解説 Vol.2

※本記事は2020年2月に公開した内容に新たな情報を追記・編集したものになります。
仮想通貨の損益計算の落とし穴?把握しておくべき注意点とは
第1回(記事はこちら)では、税務上の損益とは「実現損益」のことを意味しており、普段考えている投資の損益(投資総額と現在の時価の差)とは必ずしも一致しない、ということを説明しました。
売買を何度か繰り返すと、この実現損益と投資の損益がどれだけずれているかわからなくなるかと思います。そのため、気付かないうちに税務上では利益が想定より発生しており、損をしていると思い込んでいても、実はかなり利益が上がっていたというケースもよくあります。そのため、「必ず」自身の実現損益がいくらだったか計算するようにしましょう。
計算方法自体は、国税庁のHPに開示されています。ただ、自分でこれを見て計算するのは大変かと思うので、自信のない方は自動計算ツールを使うことをオススメします。デモもご用意しているのでまずはお気軽にお試しください。
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注意点1. 仮想通貨同士の交換での損益発生について
仮想通貨取引の損益計算について注意しておく点としてあと2点あります。
1つ目は、仮想通貨同士の交換、でも損益が発生することです。
仮想通貨同士の交換とは、要するにビットコインでイーサリアムを買う、など円を使った売買ではない取引のことを指します。「円に戻していないのに税金が発生するの?」という質問はよく頂戴するのですが、仮想通貨同士の交換で計算された損益がプラスであれば、円に戻していなくても収入となり納税が必要となる可能性があります。
具体的にどういうことか、例をみてみましょう。
例えば、あなたがビットコインを2020年3月1日に50万円で1枚、初めて購入したとしましょう。2020年6月1日にビットコイン1枚を使って、イーサリアム20枚を購入したとします。このときビットコインの円価格は100万円、イーサリアムの円価格は5万円でした。
この例の場合、あなたの投資は2020年6月に50万円を使ってビットコインを1枚保有し、6月にそのビットコインをイーサリアムに交換したので、50万円を投資して6月現在イーサリアムを20枚保有している、と考えるかと思います。これは投資の捉え方としては間違っていないのですが、税務上の損益としては全く違う考え方をします。
6月にビットコイン1枚をイーサリアム20枚に交換する取引は、税務上では次の二つの取引に分解されます。
1)ビットコインを1枚、時価(この場合100万円)で売却する。
2)1の売却総額(この場合100万円)を用いて、イーサリアム20枚を購入。
つまりこの例でのイーサリアム1枚あたりの取得簿価は5万円。
よって、1のビットコインの時価での売却取引について、損益が発生することになるのです。この例ですと、もともと50万円でビットコインを1枚購入していたので、イーサリアム20枚との交換によって、利益が50万円発生します。
整理しますと、上記の例でのあなたの投資は、税務上では、2020年3月に50万円を使ってビットコインを1枚保有し、6月にそのビットコインをイーサリアムに交換したので、50万円の利益が発生。ビットコインの売却総額100万円を使って6月現在イーサリアムを20枚保有している、となります。
「ビットコインの売却総額50万円って実際には50万円の現金が入ったわけじゃないのに、なんで利益扱いされるんだ?おかしいじゃないか?」と思うかもしれません。ただ、仮想通貨同士の交換においても損益を認識する、というルールがある以上、このように時価を用いた計算によって損益発生することを覚えておいてください。
注意点2. 複数の取引所を利用して取引している場合
2つ目の注目点は、複数の取引所を利用している場合、基本的に取引所ごとに別々に損益計算できない、という点になります。どうするのか?というと、利用されている取引所すべての履歴を時系列に沿って1つにまとめて、その上で計算するということになります。
例えば、A取引所でビットコインを1枚100万円で購入し、1週間後にB取引所でビットコインを1枚120万円で購入したとします。この場合、あなたのビットコイン1枚あたりの簿価は110万円( (100+120) / 2 )となります。その後B取引所でビットコイン1枚を150万円で売却すると実現損益は40万円(=150万円-110万円)となります。
一方で、A、Bそれぞれの取引所での取引を別々に計算してしまうと、Aでは損益0(Aでは売却していないため)、Bでは30万円(=150万円-120万円)の実現損益となり、合計の実現損益額は30万円となります。
これは本来の利益額である40万円と一致しません。このように取引所別に計算してしまうと、正しい計算となりません。そのため、全取引を1つにまとめて時系列に沿って計算する必要があり、海外の取引所を使っている方などは海外時間との時差も考慮して計算する必要が出てきます。
第2回では損益計算についての大きな注意点について説明しました。これらはまだまだ序の口で、本当はさらに仮想通貨独特の取引、例えばマイニング、エアドロップ、ハードフォーク、ICOなど多様な取引についてどのように損益を認識するのかとても複雑です。一口に仮想通貨損益計算サービスといっても、実はかなり複雑なことをしているのがお分かりいただけるかもしれません。当社のヘルプページ等に細かい計算方法については開示していますので、ご興味あればぜひご覧ください。
仮想通貨の損益計算はとても面倒なので、実際にはクリプタクトのサービス等をご利用いただくとして、第3回は、実際にどうやって確定申告を行うのか、について説明したいと思います。
第3回記事はこちら
▼クリプタクトサービスはこちら
《会社概要》
株式会社クリプタクト
2018年1月設立。創業メンバーの3人はゴールドマン・サックスにて、ヘッジファンドの運用や金融システムの開発を経験。2019年10月にはジャフコ、マネーフォワードなどから計3.3億円の調達を実施。
※本記事はコインタックス株式会社の監修を受けています。
パートナー税理士法人と暗号資産(仮想通貨)投資を行う上で、ハードルとなる税務周りの問題の解決を主に行っている。確定申告サポートから、税務調査や暗号資産の相続に至るまで幅広いサービスを提供。
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執筆者
斎藤 岳
株式会社クリプタクト代表取締役 Co-CEO。新卒でゴールドマン・サックスに入社してから計12年間、株、債券、為替など流動性のある資産から、不良債権、船舶、不動産など、幅広く投資・運用を経験。クリプタクトは投資支援プラットフォームであるCryptactを運営。仮想通貨の自動損益計算サービスを皮切りに、投資において役立つITツール開発に注力。前職での投資経験を活かして、レポートやコラムも多数執筆。Twitter:@Cryptact_gaku