投資家・トレーダーでもブロックチェーンの技術を学ぶべき理由

複雑な用語が飛び交う仮想通貨/暗号資産、ブロックチェーン業界
仮想通貨/暗号資産、ブロックチェーンの領域では複雑な用語が飛び交うことは日常茶飯事です。
例えば、公開鍵や秘密鍵、署名、ハッシュ関数、PoWやPoSといった合意形成アルゴリズム、双方互換性がないクライアントのアップデート、ブロックのリレー...
ブロックチェーンに詳しい方や、私のようにこの業界で働く人間にとっては、これらは基礎的な用語ですが、少なくともはじめて仮想通貨/暗号資産に興味を持った方、特にこれまでエンジニアでもなく、コンピュータサイエンスに精通していなかった人にとっては聞き慣れない言葉ばかりで、難しく感じることもあるのではないかと察します。
もちろん、こういったブロックチェーンの仕組みをしっかり理解していなくとも、ビットコインをはじめとした仮想通貨/暗号資産への投資はできるし、ブロックチェーンのアプリケーションも利用できます。
しかし、もしこのコラムをお読みになられている投資家やトレーダーの方々、また、投資・トレードを始めて間もない読者の皆様が、この領域において長期で投資をしたい、投資で大きなリターンを得たいと考えているのであれば、ある程度はブロックチェーンの技術的理解も深めたほうが良いというのが筆者の意見です。
より直接的に言えば、よほどチャートなどのみで取引をする短期トレーダーを除けば、技術的理解をある程度備えている投資家のほうが、長期で大きいリターンがあるとも考えています。
本コラムではその理由についていくつかの視点で述べます。
仮想通貨/暗号資産暗号通貨は本質的にソフトウェアである
「仮想通貨/暗号資産は新しいアセットクラス(投資対象となる資産の種類)である」
こういった表現はよく聞きます。
これが具体的にどのような点で新しいアセットクラスかというと、多くの仮想通貨/暗号資産とは本質的にソフトウェアそのものであるという点です。
従来の金融商品、例えば株式であれば、それは現実社会に存在する会社のオーナーシップの一部であり、将来、配当が期待できるものでした。
そして会社と株主の関係は、各国の会社法で定義されているフレームワークが存在します。
これに対して、BitcoinやEthereumは、裏付けになる現実社会の価値がなにもなく、ソフトウェアそのものに価値がついています。
1ビットコインは執筆時点で80万円、時価総額は約15兆円程度ですが、このビットコインの保有情報は256ビットの整数値そのもので表現され、そこに裏付けは存在しません。
また、BitcoinやEthereumといったブロックチェーンは、特定のベンダーが保守をすると約束しているネットワークではなく、世界中のコンピュータが互換性のあるクライアントを走らせているに過ぎません。
こういった点で仮想通貨/暗号資産はソフトウェアそのものであり、BTCやETHを購入・投資している人はソフトウェア自体に投資をしていると言えます。
そうであるにも関わらず、ソフトウェアのことを理解しないまま投資を行うことは賢明とは言えないでしょう。
Ethereum:アプリケーション開発のためのブロックチェーンとして、他のチェーンとの優位性は?
仮想通貨/暗号資産に関して、ある程度技術的視点を持つとどのような考え方ができるか、一例を上げてみましょう。
例えば、現在、スマートコントラクトを執行できるブロックチェーンは多数存在し、それらの間では活発な競争が見受けられます。
これはそのブロックチェーン上にどれだけの数のアプリケーションが乗るかという、プラットフォーマーの戦いであるとも言えます。
その筆頭は、Ethereumで、そのあとEOS、NEO、TRON*などが続き、他にも様々な後続が存在し、それはこれからも増えるでしょう。
そのブロックチェーン上に使われるアプリケーションがどれだけ増えるかは、そのブロックチェーンやネイティブトークンのファンダメンタルになります。
*現時点でEOS、NEO、TRONの日本での取り扱いはありません
これに対して、◯◯はEthereumに追いつく!などという煽り文句もまれに散見しますが、そもそもEtheruemの現在の優位性はなんでしょか。
まず、Ethereumには数多くの開発者ツールが存在します。
ノードをホストできるinfura、アプリケーションと接続できるエクステンションウォレットであるMetamask、開発フレームワークのTruffleなどがその代表です。
これは非常に重要な点で、EVM(スマートコントラクトのコードを実行するバーチャルマシン)互換を持つ他のブロックチェーンもEthereumの上記のようなツールの互換性を持つことは可能でしょうが、それも開発工数が必要になるでしょう。
そして、Ethereumのアプリケーションレイヤーの構築には、様々なミドルウェア(MakerDAOなど)が存在し、開発を早めます。
他、Ethereumには過去にスマートコントラクトの脆弱性を突かれた様々な事件が発生していますが、その分、コミュニティ内にセキュリティの知見や安全なコードのライブラリが蓄積されつつあります。
これはその他のブロックチェーンがまだ蓄積していない部分です。
加えて、Ethereumには、用途に応じたトークンの標準規格が存在します。
ERC20やERC721などがその代表ですが、この規格の標準化はアプリケーションや他のプロトコルに互換性を与えています。
こういったインフラを蓄積していることがEthereumの強みであるのですが、少し技術的視点を持てば、この上でその他のブロックチェーンはEthereumに追随できるだろうか?という検討ができるようになります。
まとめ
あくまでこういった思考をしたことは一例ですが、このように少し技術的なことを学ぶことで様々な視座を得ることができ、また、それぞれの仮想通貨/暗号資産の優位性について理解を深めることは投資判断にも活かせるはずです。是非投資家やトレーダーの方もブロックチェーン技術に関心を持ってみてはいかがでしょうか。
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執筆者
平野 淳也
HashHub共同創業者兼CEO。 HashHubは、ブロックチェーンスタジオというコンセプトで様々な企業との共同開発やコンサルティングを行う他、スタートアップと開発者を対象としたコワーキングスペースを本郷三丁目で運営する。 子会社のd10n Labは、リサーチレポートの配信などを中心に行う有料の情報配信プロバイダとして個人や金融機関、大手企業の多くから利用をされている。 Twitter:@junbhirano