ベネズエラ政府が仮想通貨「ペトロ」を発表 国が発行する仮想通貨として成功事例になるか
2018年2月、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は、原油資源に保証された仮想通貨である「ペトロ」を発行したと発表しました。
ペトロはベネズエラ産の原油価値が裏付けとなっている仮想通貨で、1ペトロは1バレルに裏付けされています。
マドゥロ大統領は、今回の売り出しでは初日で7億3500万ドル(日本円で約790億円)を調達したと発表しています。
また、ベネズエラ・ボリバル共和国では、国税や公共サービスの支払いにペトロを利用することも検討しており、今後自国通貨であるボリバルとともに、国の通貨として本格的に導入していく姿勢を取っています。
現在、ベネズエラは深刻なインフレに見舞われています。
国際通貨基金によると、ベネズエラのインフレ率は2018年に1万3,000%になるとされており、医療品の不足や、国民の栄養失調など深刻な問題を多く抱えています。
ブルッキングス研究所の世界経済・開発担当研究員であるダニー・バハール氏は「経済の悪化は南半球で最悪。すべてが歪む人道的危機だ」と、語っています。
政府ではペトロの発行によって、こうした問題を解決する考えです。
政府の中からは、ペトロの一部を60%割り引いて販売し、買い手を呼び込むべきだとの提案もあります。
一方、国会ではペトロを憲法に違反すると見なしており、野党議員からは「仮想通貨ではなく、石油の先物取引だ。汚職のための通貨だ」と、ペトロを批判する意見が出ています。
野党から反対されているペトロについては、マドゥロ大統領の任期が終われば無効になるとも考えられており、4月22日に行われる大統領選の動向に注目が集まっています。
原油に続き、金連動の仮想通貨に参入
ペトロ発行を発表した翌日、マドゥロ大統領は「ペトロ・ゴールド」の導入を発表しました。石油に裏付けされたペトロに対し、ペトロ・ゴールドは金に裏付けされた仮想通貨です。
ペトロ・ゴールドについて、マドゥロ大統領は「ペトロをさらに強化する仮想通貨だ」と述べています。
こうした仮想通貨発行の裏側には、アメリカからベネズエラに行われている経済制裁があります。
アメリカ人からの借り入れを禁止しただけではなく、ベネズエラ政府や国営の石油会社・ペトロレオスが発行する債券の取引も禁じられています。
マドゥロ大統領は仮想通貨の人気にあやかり、アメリカの経済制裁を回避したい考えです。
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