トランプ大統領、「ペトロ」の取引禁止へ
2018年3月19日、アメリカのドナルド・トランプ大統領は、ベネズエラが発行した仮想通貨「ペトロ」について、アメリカ国内での取引を禁止する旨を発表しました。
アメリカは現在、ベネズエラに対して経済制裁を行っていますが、「独自通貨であるペトロの発行は、制裁逃れの一環だ」とマドゥロ政権を強く批判し、今回の取引禁止令は制裁逃れに対する規制としています。
ホワイトハウスはアメリカ国内の銀行に対しても、ベネズエラから新たな債務を購入しないように呼びかけており、ハイパーインフレに苦しむベネズエラにとって、大きな痛手となっています。
ペトロを禁止したことは、同じくアメリカから経済制裁を受けている国家の、仮想通貨発行をけん制する目的もあるとされています。
ベネズエラ発行の石油連動仮想通貨「ペトロ」
ベネズエラが発行している「ペトロ」は、ベネズエラ産の原油価格に裏付けされた「国が発行した仮想通貨」です。
同じく金の価格に裏付けされた「ペトロ・ゴールド」という仮想通貨もあります。
現在のベネズエラは、南半球で最悪と評されるほどのインフレに陥っており、2018年にはインフレ率が、1万3千%になると予想されています。借金は借り換えができないほど膨らみ、国民は栄養失調や生活用品が購入できないことに悩まされています。
ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は、国が保証する仮想通貨・ペトロの発行は、こうした深刻なインフレから脱却するための手段としていました。
しかしペトロの発行がアメリカの逆鱗に触れたことによって、まったくの逆効果となってしまいました。
ペトロは発行時から「憲法に違反するのでは?」「仮想通貨ではなく、石油の先物取引だ」と、国会の中でも懐疑的な見方をする議員がおり、今回の規制は懐疑的な見方をする議員たちの心配が的中した形です。
アメリカによるベネズエラへの金融制裁の背景
アメリカがベネズエラへの金融制裁をしている背景は、前述したベネズエラのハイパーインフレにあります。
ベネズエラでは、インフレに困った国民が政府に対するデモを頻繁に起こしており、多数の死者が出ています。
それにも関わらず、マドゥロ大統領は憲法の修正権限を持った制憲会議を作ろうとしており、独裁政権への道を歩み出していました。
これに問題を感じたトランプ大統領は、2017年8月に、ベネズエラ国営石油会社の社債取引禁止、ベネズエラ国債の取引禁止の経済制裁を科しました。
アメリカではそれ以前にも、マドゥロ大統領や政府関係者、軍幹部など,アメリカ国内の資産の凍結、アメリカ人との経済取引禁止などの制裁を行ってきましたが、今回ペトロの取引禁止で、重ねて制裁を加える形となりました。
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