ASBJ(企業会計基準委員会)が仮想通貨の会計ルールを決定
2018年3月9日、ASBJ(Accounting Standards Board of Japan:企業会計基準委員会)は、仮想通貨に関する会計のルールを正式にまとめたと発表しました。
基本的には期末に時価評価を行うシステムが取り入れられ、価格変動を損益に計上できるようになりました。
現在、仮想通貨は日本の家電量販店や飲食店など、特に外国人観光客が訪れる店舗で利用されることが多くなっています。
ASBJではこうした現状を受け、2017年12月5日に、仮想通貨の会計ルールの草案を発表し、2ヶ月間、草案に関しての意見を募っていました。
今回のルール決定は、その草案を概ね認めた結果となっています。
今回、正式にまとめられたのは仮想通貨に関する会計ルールのみです。
自社でトークンを発行して、それで事業資金を集めるICO(Initial Coin Offering:イニシャルコインオファリング)については「実態を網羅的につかめていない」とし、今回のルールからは除外されました。
今後はICOも、状況を見ながら内容を検討していくとしています。
この会計ルールは2019年3月期より適用されます。
新しい会計ルールで仮想通貨の計算はどう変わる?
今回仮想通貨の会計ルールが決定したことにより、最も大きく変わったのは「時価評価」の導入です。
これまでの仮想通貨の会計ルールは、基本的に「簿価」、つまり取得した際の金額で評価されていました。
しかし、仮想通貨は常に価格が変動するものです。
そのため、場合によっては売買で利益が出たり、逆に損失になったりします。
今までの会計の仕方では、その変動による損益を盛り込むことができませんでした。
しかし、新しい会計ルールの時価評価では、貸借対照表に利用頻度の高い取引所のレートで記載し、期末に再評価を行うシステムです。
再評価した際の差額がそれより高ければ利益として、低ければ損失として計上します。
これは普段の取引で得た仮想通貨はもちろん、採掘(マイニング)によって得たものも同様です。
ちなみに、取引が少ない仮想通貨は、取得時の時価を貸借対照表に記載します。
期末に換金性があるかないかによって、処分見込価格を決定します。
今回、会計ルールが正式に決まったことにより、企業ではより厳密な決算が可能となりました。
これが、仮想通貨の利用をさらに広める追い風になるのではと期待されています。
実際に2019年に適用されることになれば、また改善の必要がある部分も見えてくるかもしれません。
仮想通貨取引を行っている企業は、ルールの決まっていないICOも含め、今後ASBJの発表に耳を傾けておきたいところです。
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