1.タイの証券会社が、共同で仮想通貨取引所の開設を検討
2018年7月、タイの証券会社が仮想通貨取引を行うために、共同でSEC(Securities and Exchange Commission:証券取引委員会)に登録申請をしていることが明らかとなりました。タイでは仮想通貨取引所を開設するには、90日以内にSECに登録を行い、承認されなければなりません。証券会社はもともとこうした取引の体制が整っているため、国内での仮想通貨の法整備と合わせて、仮想通貨の取引体制を整えていくと考えられています。
証券会社が仮想通貨の取引を行う場合、投資家と証券会社の資産を明確に分けて管理する必要があります。ただ、証券会社は取引に関する実績があって、安全性も高いことから、投資家たちも関心を示すとされています。
ASCO(Association of Securities Companies:タイ証券会社協会)会長のパテラ・ディーロークルンシラポップ氏は、「投資家の資産を守るための新しいシステムの導入、コスト削減や技術革新のための、単一プラットフォームの開発が必要」と述べ「こうしたシステムができれば、投資家も取引をしたいと思うだろう」と、システムの開発に自信を見せています。
2.タイの仮想通貨事情
タイはアメリカや日本ほど仮想通貨に対して友好的ではありませんが、さほど厳しいわけでもありません。ある程度の規制を整えた上で、仮想通貨の取引を認めており、仮想通貨はデジタル資産として位置づけられています。
タイでは2018年の5月に、仮想通貨に関する枠組みが作られ、現在は整備の最終段階に入っています。前述したように、仮想通貨取引を始める取引所はSECへの登録が必要で、登録を怠ると最低でも500万バーツ(約1,720万円)の罰金が科せられます。
また、財務省からもデジタル資産事業運営の承認を得なければなりません。
さらに、デジタル資産の取引を行った場合、キャピタルゲインの15%の源泉徴収税を支払う必要があり、仮想通貨の交換に7%の課税があります。
2018年の2月には、財務省の事務次官が仮想通貨投資のリスクを強調したり、中央銀行の総裁が銀行に対して、仮想通貨から距離を置くように進言したりするなど、タイは仮想通貨には否定的な国と見られていました。
しかし、実際に規制の枠組みを作ってからは、比較的柔軟な姿勢を見せています。6月には複数のICO(Initial Coin Offering:イニシャル・コイン・オファリング)に対して承認を出しており、国が認めた環境下で取引ができる最初の例となりました。
タイが仮想通貨に対して徐々に柔軟な姿勢を見せ始めたのは、世界での仮想通貨の広がりを自国に取り込むことで、税収や国内での技術開発を進めるためと見られています。一方で、犯罪の温床となる可能性がある仮想通貨に対して慎重になっているところもあります。
今後、タイ国内の法整備がどのように進んでいくのか、注目が集まっています。
(本記事は2018年8月現在の情報です)
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