1.インド政府は仮想通貨を禁止しない
2018年7月、インド政府は仮想通貨を禁止せず、コモディティ(商品)として扱う考えであることを、関係者が明らかにしました。
アメリカのQuartzの取材によると、匿名で取材に応じたインド政府の高官は「インド政府としては、仮想通貨を禁止することは考えておらず、仮想通貨を商品とすることで合理的な規制を行っていく」と述べています。インド政府は仮想通貨取引自体を違法であるとはせずに、仮想通貨の流れを明確にすることで、マネーロンダリングなどの犯罪に利用されることを防ごうと考えているようです。
また、インドでは仮想通貨を電子決済と見なす動きもあります。インドでは原則賭博が禁止となっていますが、税収のことを考え、スポーツ賭博の合法化を考えています。その決済手段として、仮想通貨の利用を検討しているようです。
インド国内の仮想通貨関連企業は、政府のこうした動きに協力的で、マネーロンダリングに対するガイドラインを作ったり、助言を受け入れるための体制を整えたりしています。
2.これまでの仮想通貨に対するインドの反応
インドの仮想通貨に関する動きには、これまでさまざまなFUD(Fear・Uncertainty・Doubt:恐怖・不確実・疑問)が飛び交っていました。その理由は、RBI(Reserve Bank of India:インド準備銀行)や財務省が、仮想通貨に対して否定的な発表をしてきたためです。
2018年1月には、財務省が仮想通貨に関して「通貨の本質的な価値を持っておらず、詐欺によって投資家が破滅するリスクがある」と批判しています。
また、2018年4月には、RBIがインド国内の銀行に対して、同年7月までに仮想通貨との関係を絶つように通告しています。あくまでインド国内の銀行に対しての通告であり、仮想通貨の取引そのものを禁止しているわけではありません。
しかし、こうした仮想通貨に対する否定的な姿勢が国内の仮想通貨事業社や投資家から批判を浴び、最高裁判所が介入する裁判にまで発展しています。
今回「仮想通貨を商品とする」と明言されたことは、仮想通貨をお金ではなく、商品として認識させることで、リスクを考えた投資をしていると判断する狙いがあります。
インド政府には、仮想通貨の経済への有益性と同時に、通貨としての意義や犯罪に利用されるのではという疑念が大きく残っているようです。
いずれにしても、インド国内での仮想通貨の立ち位置が今後どうなっていくのか、それによって世界の仮想通貨市場にどのような影響をおよぼすのか、注目が集まっています。
(本記事は2018年8月現在の情報です)
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