1.国税庁が仮想通貨の申告の簡略化を検討
2018年7月14日、国税庁は、仮想通貨の申告における環境整備を年内に進めていくと発表しました。4月から数度、金融庁や仮想通貨の業界団体と話し合いを行った結果、仮想通貨における確定申告の利便性を上げることで、正確な申告を促していくことで合意しています。
仮想通貨での利益は「雑所得」として申告することが義務付けられていますが、価格が大きく変動する仮想通貨は所得の計算が複雑で、申告をしなかったりごまかしたりする問題が起きています。また、仮想通貨取引所によってデータの保存方式が違っていたり、民間の提供する仮想通貨の申告ツールは、使えない取引所があったりなど、申告を促すための環境整備ができていない状態です。
国税庁では、こうした複雑な申告を簡略化することによって、脱税を防ぎ、正確な納税ができるように促していく考えです。
2.どのように簡略化されるのか
仮想通貨取引での利益が年間20万円を超える場合、基本的に確定申告をしなければなりません。前述したように、仮想通貨取引での利益は「雑所得」として申告します。
国税庁は、申告に際して自動計算ツールの使用を促すことで、正確な申告をさせていく方針のようです。
仮想通貨における税金の計算は方式がふたつあり、移動平均法か総平均法のどちらかを用います。移動平均法は、仮想通貨を購入した時点の購入価格の平均値によって計算し、総平均法は、昨年から保有する仮想通貨の総額と、今年買った総額を足して量で割って原価を出す方法です。複数の取引所を使っている場合、データをまとめることができないため、1社ごとにデータを取り寄せて、計算しなければなりません。こうした複雑な計算を自分で行うのは非常に困難です。
データを取り寄せて税理士にお願いすれば、複雑な税務を一手に引き受けてもらえますが、さほどの利益がない場合、税理士に頼む余裕はないでしょう。
しかし、民間から出ている仮想通貨の計算ツールを使えば、複雑な計算が自動化されるため、自分で申告書の作成ができます。ツールによって、移動平均法か総平均法かが違うため、自分が得になる方を選ぶとよいでしょう。
また、国税庁では申告書類の簡略化も検討しているようです。確定申告が簡単になれば、納税者の負担は減るため、その分間違いのない申告を行う人が増えると予想されています。
(本記事は2018年8月現在の情報です)
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