仮想通貨で聞くセカンドレイヤーとは?ブロックチェーンとどのような関係なのか目的や実用例について
仮想通貨で聞くセカンドレイヤーとは?ブロックチェーンとどのような関係なのか目的や実用例について
仮想通貨取引を行うブロックチェーンは、何層ものレイヤーが重なって構成されています。
その中でも利便性の高さが注目されているのが、「セカンドレイヤー」です。
この記事では、セカンドレイヤーの概要から実用例、今後の課題まで、幅広く解説していきます。
1 ブロックチェーンのセカンドレイヤーとは?
セカンドレイヤーとは、ブロックチェーン上に幾層にも重なるレイヤーのうち、2層目にあたる部分のことです。
ブロックチェーンのように、基盤となる仕組みを最下層にして複数のレイヤーが重なって構成される仕組みを「レイヤーモデル」と呼びます。
仮想通貨のブロックチェーンの場合、基盤となる最下層のレイヤーはブロックチェーンネットワークです。
その上に位置するセカンドレイヤーは、主にブロックチェーンのネットワーク外、つまり、オフチェーンにおけるトランザクションを記録できる層です。
例えば、後述するペイメントチャネルやライトニングネットワークなどが、オフチェーンのネットワークにあたります。
また、仮想通貨取引所での取引も、最下層のブロックチェーンネットワークではなく、各仮想通貨取引所のデータベースに記録されるため、セカンドレイヤーで行われている取引だといえるでしょう。
2 セカンドレイヤーの目的
ブロックチェーンは、最下層のレイヤーから数えて全6層で成り立っています。前述したように、セカンドレイヤーはブロックチェーン上に重なるレイヤーのうち、2層目にあたるレイヤーです。
セカンドレイヤーの大きな目的は、スケーラビリティ問題の解決にあります。
スケーラビリティ問題とは、ブロックチェーン上で取引を行うユーザーや、ブロックチェーンネットワークへアクセスするコンピューターが増加することで発生する、さまざまな問題を意味し、具体的には処理速度の低下や送金の遅延、手数料の増加などが挙げられます。
例えば、ビットコインの取引の場合、ひとつのブロックに記録できる容量には制限がある上、新たなブロックが生成されるには約10分もの時間が必要です。
さらに、取引の度に送金手数料も発生するため、取引が多ければ多いほど手数料が増加することが難点でもありました。
しかし、オフチェーンであるセカンドレイヤーで取引を行うことにより、ブロックチェーン上へ取引データを記録する必要がなくなります。
すると、レイヤーモデルの最下層であるブロックチェーンネットワークにかかる負担が軽減されるため、スケーラビリティ問題の解決に大きく効果があるといえるのです。
また、スケーラビリティ問題を解決することで、取引が承認されるまでの時間が短縮されたり、送金手数料が安くなったりするなど、取引を行うユーザー側にもメリットがあります。
3 セカンドレイヤーの実装例
上記では、セカンドレイヤーの概要や目的などを解説しました。ここでは、セカンドレイヤーが具体的にどのような技術に実装されているかを見ていきましょう。
3.1 ペイメントチャネル
ペイメントチャネルとは、二者間で取引を行う場合、その取引回数に関わらず、ブロックチェーンへの記載は一度で済むという技術のことです。
ブロックチェーン上では、取引がひとつ発生する度に承認が行われます。ブロックチェーンに記録されなければ取引が成立しないため、ひとつの取引に時間がかかるのが通常です。
しかし、ペイメントチャネルでは二者間の取引に限られるものの、複数回の取引を行っても、ブロックチェーンへ記録するのは最終的な取引結果だけでよいため、取引速度が上がるほか、取引ごとに発生する送金手数料を削減することが可能となるのです。
ペイメントチャネルの技術を利用すると、これまでは取引ごとの送金手数料が課題となっていた少額決済の機会がさらに増えていくでしょう。
3.2 ライトニングネットワーク
ライトニングネットワークとは、上記のペイメントチャネルと同じく、ブロックチェーンへの取引記録を一度で済ませられる技術のことです。ペイメントチャネルでは、一度にまとめてブロックチェーンへ記載できるのは二者間の取引のみでしたが、ライトニングネットワークの場合は、複数人での取引においてブロックチェーンへの記載をまとめることが可能です。
例えば、ユーザーAがユーザーCに送金するためには、ユーザーAC間で通信経路がつながっている必要があります。ところが、仮にユーザーAとユーザーCがそれぞれにユーザーBとの通信経路を持っていれば、両者はユーザーBを中継して送金することができるのです。
その場合、ブロックチェーン上の承認取引はユーザーAからユーザーB、そして、ユーザーBからユーザーCの2回行うのが通常です。しかし、ライトニングネットワークでは、オフチェーンですべての取引が終了したあとに、ユーザーAからユーザーCに送金されたという取引承認を一度行うだけで済むため、ペイメントチャネルと同じく取引速度が上がったり、送金手数料を削減したりすることができます。
3.3 ライデンネットワーク
ライデンネットワークとは、イーサリアムのネットワーク上での取引をオフチェーンで行う技術のことです。上記で解説したライトニングネットワークは、主にビットコインに最適化されたセカンドレイヤーですが、ライデンネットワークはイーサリアムに最適化されたセカンドレイヤーを指します。
ライデンネットワークも、ペイメントチャネルやライトニングネットワークと同様に、イーサリアムにおけるスケーラビリティ問題の解決が可能となる技術です。オフチェーンで取引を行うため、取引速度が低下するリスクを抑え、取引手数料の削減にもつながります。
また、ライデンネットワークでは、独自トークンを発行してICO(Initial Coin Offering:イニシャルコインオファリング)を行いました。発行された独自トークンは、ライデンネットワーク内において有料サービスを利用する際に、手数料として使用することができます。
ただし、ライデンネットワークのトークンセールは2017年に終了しているため、今後ライデンネットワークの独自トークンを入手することは不可能に近いといえるでしょう。
4 セカンドレイヤーの課題
上記で解説したように、セカンドレイヤーには、ブロックチェーン上での取引には切り離すことのできないスケーラビリティ問題を解決する目的があります。
セカンドレイヤーは、その利便性の高さから、ビットコインにおけるライトニングネットワークや、イーサリアムにおけるライデンネットワークなどといった技術として実装されています。
しかし、一見すると万能のように思えるセカンドレイヤーにも、いくつかの課題が存在するのです。
そのうちのひとつが、セキュリティの低下です。オフチェーンで取引を行い、取引の詳細を記録しないセカンドレイヤーは、すべての取引データを暗号化して時系列で記録できるブロックチェーンと比べると、セキュリティが低下するリスクがあります。
また、セカンドレイヤーでは第三者が取引記録を確認したり、監視したりすることはできません。したがって、取引の透明性が損なわれる点も課題として挙げられます。
さらに、セカンドレイヤーでの取引が増加することで、採掘(マイニング)によって報酬を得ているマイナーから反発の声が上がる可能性も考えられるでしょう。
今後も仮想通貨取引における人口が増加する一方で、さまざまな技術や仕組みが開発されていくはずです。セカンドレイヤーで取引を行う際には、利便性の高い技術であるが故の課題点を理解した上で、利用するのが望ましいといえるでしょう。
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執筆者
Liquid編集部
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