ビットコインの「ローソク足」ってなに?特徴や見方などの基礎知識

ビットコインの価格は常に変動しているため、価格が上昇相場にあるときに安く買い、下降相場にあるときに高く売ることで、差益を得ることが可能です。
ここでは、ビットコインの値動きを読み取り、売買のタイミングを判断する指標である「ローソク足」について、基本情報や見方などを解説していきます。
1 ローソク足とは?
ローソク足とは、株や仮想通貨などさまざまな価格の値動きを表す記号のことです。縦に伸びた棒状で表す様子が蝋燭(ろうそく)のように見えるため、ローソク足と名付けられました。
ローソク足を見ると、秒単位から分単位、日単位、週単位などさまざまな期間の中でどのような値動きがあったかだけでなく、それらの一定期間内の始値、終値、高値、安値も読み取ることができます。
ローソク足は、江戸時代に米商人として大きな資産を残した本間宗久氏が発案しました。1724年に現在の山形県酒田市にあたる出羽庄内で生まれた本間宗久氏は、ローソク足のパターンによって売り場や買い場を読み取る「酒田五法」を利用して、米相場の投機を成功させたことで知られています。
本間宗久氏が生んだローソク足は、江戸時代から200年以上たった現代でも、仮想通貨や株式、商品先物などの相場を読む手段として世界中で活用されています。
なお、一定期間の値動きをローソク足で示し、時系列に並べてグラフ化したものを「ローソク足チャート」といいます。ローソク足チャートでは、一定期間の相場の動きがひと目でわかるため、過去の値動きから将来の値動きを予測する「テクニカル分析」に用いられるのが一般的です。
2 ローソク足の基本について
前述したように、ローソク足をうまく利用すると、過去の値動きから将来の値動きを予測して、仮想通貨を売買するタイミングを判断することが可能です。
しかし、ローソク足チャートを読み取るためには、チャートを構成するローソク足ひとつひとつを理解しておくことが大前提にあります。
そこで、ここからは以下の図を参考に、ローソク足の基本情報について順に解説していきましょう。
2.1 始値・終値・高値・安値とは?
1本のローソク足は、「始値」「終値」「高値」「安値」の4つの値(4本値)を表しています。
始値とは、一定期間に初めて成立した取引の価格を意味し、「寄り値」「寄り付き」と呼ばれることもあります。
終値とは、一定期間の最後に成立した取引の価格を意味し、「引け値」「大引け」とも呼ばれます。
また、安値とは一定期間の取引の中で最も安い価格を意味し、反対に、高値とは一定期間の取引の中で最も高い値段を意味しています。
2.2 上ヒゲ・下ヒゲとは?
上記の図が示すように、ローソク足は、ローソクの形をした柱部分の実体と、上下に伸びる直線で成り立っています。柱部分から上に向かって延びる線を「上ヒゲ」、下に向かって延びる線を「下ヒゲ」といいます。
土台となる柱部分が始値と終値を示し、上ヒゲは高値、下ヒゲは安値を示しています。ローソク足は一定期間の4本値を表すため、その期間の値動きによって実体や上ヒゲ・下ヒゲの長さはそれぞれ異なります。
また、一定期間内の高値・安値が、始値・終値と同じ価格だった場合など、上ヒゲや下ヒゲがないケースもあります。
2.3 陽線・陰線とは?
ビットコインをはじめとする仮想通貨では、安い価格で取引が開始されて高い価格で終了することもあれば、高い価格で取引が始まり安い価格で終わることもあるでしょう。
上述したように、一定期間内の始値と終値はローソク足の実体で示すため、それぞれの価格によって始値・終値の位置は異なります。
一定期間内で価格が上昇し、始値よりも高い終値で終わった場合を「陽線」といい、上記の図が表すようにローソク足の実体の下部が始値、上部が終値となります。
反対に、一定期間内で価格が下降し、始値よりも低い終値で終わった場合を「陰線」といい、ローソク足では実体の上部が始値、下部が終値となります。
したがって、ローソク足チャートにおいて陽線が多い場合には上昇相場であり、陰線が多い場合には下降相場であると判断できます。
ローソク足は、陽線が白色や赤色で表され、陰線は青色や黒色で表されるのが一般的ですが、利用する取引所によって色が異なる場合があるため、注意が必要です。
2.4 年足・月足・週足・日足・時間足・分足とは?
前述したように、ローソク足は時間や日数などさまざまな期間での値動きを表しており、期間の長いものから順に「年足」「月足」「週足」「日足」「時間足」「分足」の6つがあります。
長期スパンでの投資を行うには、1本のローソク足で1年間の値動きを示した年足や、1ヶ月間の値動きを示す月足を参考とすることもありますが、ビットコインのように値動きの激しい仮想通貨の投資に用いられるケースは多くありません。
ビットコインなどの仮想通貨取引では、より限られた期間内の値動きを参考にするため、以下の4種類を用いるのが一般的です。
・1週間の値動きを示す週足
・1日の値動きを示す日足
・数時間単位の値動きを示す1時間足、4時間足
・数分単位の値動きを示す1分足、5分足、15分足、30分足
たとえば、ビットコインの1時間足を選択した場合、ローソク足チャートでは1時間の始値、終値、高値、安値の4本値を示したローソク足の1時間ごとの動きを読むことができます。
ビットコインの取引をする場合、まずは日足や時間足のように比較的長いスパンで大きな値動きの流れをつかみ、その後、時間足や分足で買いや売りの判断をするとよいでしょう。
ただし、利用する取引所によって時間足や分足の幅が異なる場合もあるため、事前に確認しておくことが大切です。
3 ローソク足の見方について
上記では、ローソク足の基本情報を解説しました。
ビットコインの取引を行う際には、前述したローソク足の実体やヒゲの長さなどをもとに、売買するタイミングを判断します。
ビットコインの値動きには、世界経済やほかの仮想通貨の値動きなどが影響を与えることもあるため、ビットコインのローソク足だけで判断するのは望ましくありませんが、ローソク足の見方を知っておくことは、取引の判断材料として有効です。
ここからは、これだけは押さえておきたい14種類の基本パターンをもとに、ローソク足の見方を解説していきます。
3.1 大陽線
柱部分である実体が長い陽線のローソク足です。
実体の長さは、一定期間において始値から終値まで大きく価格が上昇したことを意味するため、引き続き価格が上昇すると予測できる「買いのサイン」でもあります。
3.2 大陰線
柱部分である実体が長い陰線のローソク足です。
大陽線と同じく、一定期間において大きな価格変動があったことを意味していますが、始値よりも終値が低いため、引き続き価格の下降が予測される「売りのサイン」だといえます。
3.3 小陽線
柱部分である実体が短い陽線のローソク足です。
実体が短いことから、一定期間内の価格変動が小さいと読み取ることができます。
始値と終値の価格が近く、今後の値動きを予測するのが難しいため、売買をせずに様子を見るのがよいでしょう。
3.4 小陰線
柱部分である実体が短い陰線のローソク足です。
小陽線と同じく、一定期間内の価格があまり変動していないことを意味するため、様子を見るサインだといえます。
3.5 十字線
一定期間内に価格変動があったものの、最終的に始値と終値が同額となったために実体がないローソク足です。
大きな値動きのある前兆ともいわれています。
十字線が表れる前のローソク足を読み、陽線が多い上昇相場の場合には価格が下落する可能性があるため「売りのサイン」だと判断できますが、陰線が多い下降相場の場合には価格が上昇する可能性があるため「買いのサイン」だと判断できます。
3.6 上影陽線
下ヒゲと小陽線を足した長さよりも、上ヒゲが長い陽線のローソク足です。
一定期間内に価格が大きく上昇し、最終的には下降したことを意味します。
上ヒゲの長さが高値と終値の差を示すため、陽線であっても価格の下落が予測でき、「売りのサイン」だと判断できるでしょう。
特に、下ヒゲがない場合は「陽のトンカチ」と呼ばれ、大きな下落の前兆だといわれているため注意が必要です。
3.7 上影陰線
下ヒゲと小陰線を足した長さよりも、上ヒゲが長い陰線のローソク足です。
一定期間内の価格上昇を読み取ることができますが、その後始値よりも低い価格で終わっているため、引き続き価格が下落すると予測できます。
上影陽線と同じく「売りのサイン」です。
また、下ヒゲのない「陰のトンカチ」も、大きな下落の前触れだといわれています。
3.8 下影陽線
上ヒゲと小陽線を足した長さよりも、下ヒゲが長い陽線のローソク足です。
一定期間内に大きく価格が下落したものの、終値では上昇していることを示します。
相場の底値で下影陽線が現れた場合は、その後大きく上昇する可能性が高いため「買いのサイン」だと判断できます。
なお、上ヒゲがないローソク足は、唐傘のように見えることから「陽のカラカサ」と呼ばれます。
3.9 下影陰線
上ヒゲと小陰線を足した長さよりも、下ヒゲが長い陰線のローソク足です。
一定期間内の大きな下落を読み取ることができますが、最終的に終値まで上昇しているため、底値で現れた場合には下影陽線と同じく「買いのサイン」だと判断します。
上ヒゲがないローソク足は「陰のカラカサ」と呼ばれ、価格上昇の前兆です。
3.10 陽の寄り付き坊主
柱部分が長い大陽線から上ヒゲのみが出ているローソク足です。
始値から価格が大きく上昇したのち、高値よりも少し下降して終わったことを示しています。
始値と高値の差が大きいため上昇の前兆のように見えますが、陽線の多い上場相場で現れた場合には価格が下落する前触れだといわれており、「売りのサイン」だと判断できます。
3.11陰の大引坊主
柱部分が長い大陰線から上ヒゲのみが出ているローソク足です。
始値から価格が上がったものの、大きく下落して終わったことを意味します。
引き続き価格の下落が予測されるため、「売りのサイン」だと判断できるでしょう。
3.12 丸坊主
上ヒゲ・下ヒゲがなく、実体のみのローソク足です。「陽の丸坊主」の場合は、始値から価格が下落することなく上昇し続けていることを示すため「買いのサイン」だと判断できますが、「陰の丸坊主」の場合は始値から価格が上がらずに終値まで下落し続けていることを示すことから、さらなる価格の下落が予測されるため、「売りのサイン」だと判断できます。
3.13 トンボ
実体がなく、下ヒゲのみが出ているローソク足です。
一定期間内に始値から価格が下落したものの、始値と終値が同額で終わったことを意味しています。底値でトンボが現れた場合には、価格が上昇する可能性が高く、「買いのサイン」だと判断できます。
3.14 トウバ
実体がなく、上ヒゲのみが出ているローソク足です。一定期間内に指値から価格が上昇し、最終的に始値まで下落して終わったことを意味します。引き続き価格の下落が予測されるため、「売りのサイン」だと判断できるでしょう。
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執筆者
Liquid編集部
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