コンソーシアムとは?特徴から事例まで徹底解説!ブロックチェーンの種類についても紹介
コンソーシアムには「共同」「集団」という意味があり、大学や企業などの集合体に対してもよく使われます。
仮想通貨市場においても、コンソーシアムはブロックチェーンの種類のひとつとして耳にすることの多い言葉です。
この記事では、仮想通貨におけるコンソーシアムの特徴や事例をご紹介します。また、コンソーシアム以外のブロックチェーンについても解説していきます。
1 コンソーシアムチェーンとは?
コンソーシアムチェーンとは、共同体に参加している人のみが利用できるブロックチェーンのことを指します。
1.1 そもそもブロックチェーンとは?
コンソーシアムチェーンの前に、まずブロックチェーンについて簡単な説明をします。
ブロックチェーンとは、ビットコインを支えている分散型データ管理システムです。トランザクションと呼ばれる取引履歴がブロックに書き込まれ保管されています。ブロックはおよそ10分にひとつ作られていきますが、それがどんどんつながってチェーンのようになっていくことから、ブロックチェーンと呼ばれます。
ブロックチェーンは膨大なブロックが数珠つなぎになっており、それをネットワーク上のユーザーが常に監視している状態で管理されているため、非常に改ざんが難しいシステムです。
一部を改ざんしようとしても、数珠つなぎになっているデータをすべて改ざんしなければならず、仮に改ざんに成功したとしても、分散して保管している台帳との整合性が合わなければ、取引は承認されません。そのため、非常に信頼性の高いシステムとして、仮想通貨だけでなく、さまざまな業界でブロックチェーンの技術を応用した研究が行われています。
1.2 コンソーシアムチェーンの定義
コンソーシアムチェーンとは、前述したようにブロックチェーンの一種で、共同体に参加している人のみが利用できるブロックチェーンのことをいいます。
明確な定義は定まっておらず、パブリックチェーンの一種とすることもあれば、パブリックチェーンとは別のブロックチェーンとすることもあります。パブリックチェーンについては、後ほど記載をしますが、基本的には「一定の人・企業しか利用できないブロックチェーン」と覚えておくとよいでしょう。
1.3 コンソーシアムチェーンの特徴
コンソーシアムチェーンには「決められた人や企業しか利用できない」「複数で管理する」という2つの特徴があります。
例えば、金融機関が共同でブロックチェーンを構築し、金融機関で利用できる決済システムを作ったとします。このシステムを、ブロックチェーンを構築した金融機関とその金融機関が認めた人だけが利用できるように、共同体を作成し、その共同体に加入した人だけが利用できるような仕組みにしたとします。このように、「決められた人や企業しか利用できない」という特徴を持ったブロックチェーンがコンソーシアムチェーンと呼ばれます。
また、管理者が複数いることもコンソーシアムチェーンの特徴です。ビットコインで使われているブロックチェーンは特定の管理者が存在せず、採掘(マイニング)による新規通貨の発行などを通じて参加しているユーザーによってシステムや取引が動くようになっています。
対して、コンソーシアムチェーンには、共同体という管理者が存在します。しかし、共同体という複数の人間や企業で管理を行っていくため、管理者による中央集権システムというわけではありません。信頼できる人物や企業のみでコンソーシアムチェーンを利用することで、安全性や信頼性が高まります。
1.4 コンソーシアムチェーンの事例
コンソーシアムチェーンは、さまざまな業界で使用されています。
例えば、IBM社では、ブロックチェーンを活用した物流事業に積極的です。
例えば「Food Safety」と呼ばれるプロジェクトは、食品のトレーサビリティーを共有するコンソーシアムチェーンが基盤となっています。あらかじめブロックチェーンを使って食品の流通過程を共有し、トレーサビリティーを確保しておくことで、食品によるトラブルが起こったときに原因を早急につきとめ、被害を広げないための対策をとることができます。
これには同社が推進する「Hyperledger Fabric」というオープンソースソフトウェアが使用されています。
また、コンソーシアムチェーンを使って、国際的な物流を効率化する研究も進んでいます。
国をまたぐ取引では、書類が煩雑になりがちですが、コンソーシアムチェーンを使えば、そうした煩雑さを回避することができる上、どのような流れで物が手元に届いたのかを可視化することも可能です。
さまざまな業界でブロックチェーン技術を活用した研究が進んでいますが、コンソーシアムチェーンは同業者同士での管理や情報の共有を行うのに適しています。今後も多くのコンソーシアムチェーンが生まれ、社会で役立っていくでしょう。
2 そのほかのブロックチェーンの種類について
ここまで、コンソーシアムチェーンについて解説してきました。しかし、ブロックチェーンには、コンソーシアムチェーンのほかにも、いくつかの種類があります。ここからは、パブリック型ブロックチェーンと、プライベート型ブロックチェーンについて、解説していきます。
2.1 パブリック型ブロックチェーン
パブリック型ブロックチェーンとは、誰でも利用できるブロックチェーンをいいます。ビットコインで利用されているブロックチェーンは、このタイプです。誰でも取引履歴を閲覧できるため、透明性が高い反面、厳格なチェックが必要となっています。
また、管理者がおらず、非中央集権型であることも大きな特徴です。もともとブロックチェーンは、ビットコインの生みの親であるサトシ・ナカモトが、中央集権的な経済のシステムに疑問を抱いたことから始まっており、中央管理者がいなくても市場が調整されるようになっています。
そのための手段がブロックチェーン構築に必要な「マイニング」であり、パブリック型ブロックチェーンでは、基本的にマイニングを行った人に報酬が支払われるのが一般的です。
コンソーシアムチェーンとの大きな違いは、使用者を限定しないことと、完全な非中央集権であることです。一般や企業に広く使用してもらうためのツールとして適したブロックチェーンです。
2.2 プライベート型ブロックチェーン
プライベート型ブロックチェーンは、決まった人や企業のみが利用できるブロックチェーンです。企業や同業種内で秘密を保持したり、情報を共有したりする場合に適しています。
コンソーシアムチェーンと似ていますが、大きな違いは管理者が基本的にひとりであることです。
コンソーシアムチェーンの場合には、加入している複数の人や企業でブロックチェーンを管理していきますが、プライベート型ブロックチェーンの場合、基本的に単独で管理を行います。そのため、管理を分散させているパブリック型ブロックチェーンやコンソーシアムチェーンチェーンと違い、非常に中央集権的で、安全性や信頼性はほかのブロックチェーンに比べて低くなります。パブリック型ブロックチェーンとは、正反対のタイプであるといえるでしょう。
一方で、単独管理のため承認が早く、情報も守られやすいというメリットがあります。銀行や病院など、プライバシーを守る必要のある企業などで、活用していける技術でしょう。
実際に世の中で利用されているブロックチェーンは、パブリック型ブロックチェーン、プライベート型ブロックチェーン両方の特徴を持っているものもあり、明確にどの仮想通貨がどのブロックチェーンであるという判断はできません。
しかし、パブリック型ブロックチェーンとプライベート型ブロックチェーンの中間地点に位置するコンソーシアムチェーンは、広い業界で活用ができると注目されています。
これからコンソーシアムチェーンが、社会にどのように影響を与えていくのか、期待が高まります。
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執筆者
Liquid編集部
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