ビットコインの決済時間の目安は?送金時間が遅れる可能性や理由について

仮想通貨の中でもっとも大きな市場規模を誇っているのがビットコインです。
しかし、ビットコインの決済時間はほかの仮想通貨と比べると遅いといわれています。さらに、取引量が増えると理論上の決済所要時間である約10分よりも遅れる可能性があることが問題視されています。
今回の記事では、ビットコイン決済時に送金時間が遅れる可能性や、その理由について説明していきます。
1 ビットコインの決済時間はどのぐらいかかる?
ビットコインを決済または送金したとき、その取引が完了するまでにかかる時間は、理論上は約10分といわれています。
ビットコインの送金依頼が出されたあと、それがブロックチェーンのシステム内で承認されるのに、約10分かかる仕組みになっているためです。しかし、実際にはそれ以上かかるケースがあります。
約10分というのは承認がスムーズに進んだ場合の承認時間であり、処理しきれずに未確認トランザクションとして滞留してしまう可能性があります。
過去にビットコインの価格が大きく変動したときには、送金完了まで数日かかったケースも報告されています。
遅延が発生する背景には、まずビットコインそのものの取引量が非常に増えたことが前提として挙げられますが、その他にも様々な理由があり、具体的にはビットコインのブロックサイズの上限が小さいこと、10分に1度しかトランザクション(取引情報)の承認が行われないこと、取引データを処理する採掘者(マイナー)が減少していることなどがあります。
このビットコインの決済時間の遅延は、「スケーラビリティ問題」もしくは「トランザクション問題」と呼ばれていて、多くの議論が活発に交わされながら遅延をなくすための具体的な取り組みが始まっています。
ここからは、なぜビットコイン決済には時間がかかるのか、その理由を解説していきます。
2 決済に時間がかかる可能性とその理由
決済に時間がかかる理由を説明する前に、ビットコイン決済が承認される仕組みを説明します。
ビットコインの送金を行うとき、まず、そのトランザクション(送金情報)が、確認者であるマイナーに送られます。
マイナーはそのトランザクションを確認し、その取引に改ざんがないかなどをチェックし、問題がなければ台帳に書き込んでいきます。
送金が実行されたあと、その取引が承認されてはじめて正当な取引となり、ブロックチェーンに取引が書き込まれます。
ブロックチェーンは約10分に1回の頻度でトランザクションをブロックに格納するので、送金者が受取人にビットコインを送金した場合、通常であれば約10分で承認されます。
しかし、前述したように、これはあくまで理論上の話です。
必ずしも約10分で取引が承認されるとは限りません。実際にはもっと時間がかかる場合が多くなっています。
ビットコイン決済に時間がかかるのは、先述したようにビットコインの取引(トランザクション)が増えた分の処理が膨大だという点が前提としてあるほか、ひとつのブロックに取り込めるデータサイズの上限が小さいこと、ブロックを新しく生成しトランザクションを承認するのは約10分に1回しかできないこと、取引を処理してくれるマイナーが減っていることの4つの理由が関係しています。
2.1 新しく生成されるブロックは約10分に1回ひとつだけ
ビットコインは約10分ごとに、採掘(マイニング)という作業を経て新規発行されます。そのときに一緒に、マイナーが承認した送金依頼や決済などの取引情報がブロックと呼ばれる領域にまとめて書き込まれるのです。
生成されるのは、約10分に1回、ひとつのブロックだけと決まっています。
トランザクションが大量に発生した場合、それまでに発生したトランザクション全部を、そのブロックに書き込めないことがあります。
書き込めなかったトランザクションは保留の状態になり、ネットワークが混雑するため、送金の遅延につながってしまいます。
ちなみに、保留となったトランザクションは手数料の高いものから順に処理されていきます。これは、手数料がマイニングの報酬となるためです。そのため、手数料の低い取引ほど、取引に時間がかかる傾向にあります。
2.2 ブロックに取り込めるトランザクションは1MBまで
ビットコインでは、ひとつのブロックのサイズは1MBという上限が設定されています。
これもまた、送金時間が遅延することにつながるボトルネックといえます。
ひとつのブロックにもっと多くのトランザクションを詰め込めるようにすれば処理速度は上がりますが、ビットコインでは安全上の問題から、ひとつのブロックは1MBまでとしています。
つまり、それを超えるトランザクションは次のブロックに書き込むしかなくなってしまうのです。
しかし、次のブロックが生成できるのは約10分に1回のみです。
その間にも送金依頼が発生すれば、未処理トランザクションがどんどん溜まっていくことになります。
その結果、処理しきれなかった取引は遅延してしまうのです。
2.3 ビットコインのマイナーが減っている
ビットコインの送金や決済は、いまや世界中のたくさんの人々が利用しているため、マイナーのもとには日々処理しきれないほどのトランザクションが送られてきます。
マイナーが処理しきれない量のトランザクションが送られてきた場合は、未処理トランザクションは「メモリプール(Memorypool)」という保存場所に未承認のまま保存されます。
この捌ききれないトランザクションが送金詰まりを起こし、ビットコイン決済や送金に遅延を引き起こす可能性があります。
ビットコインのコンセンサスアルゴリズムは「PoW(Proof of Work:プルーフ・オブ・ワーク)」という方式を採用しているため、マイニングを行うには電気代がかかります。2回目の半減期を過ぎてマイニング報酬が減ったこともあり、ビットコインのマイナーが減ったといわれています。
今後マイナーが減ると、未処理トランザクションがさらに増え、遅延が発生する可能性があります。
3 まとめ
ビットコイン決済時間の目安は、基本的には10分程度です。
ただし、急激に取引量が増えるなど、ビットコインネットワークが混雑している場合は、数日かかるケースも考えておかなければなりません。
ビットコインは利用環境が整っていれば、24時間365日いつでも、世界中から場所を問わずに送金や決済が可能という画期的な決済手段です。
今後も安定的に利用するためには、決済時間のさらなる短縮や、遅延の可能性を少なくすることが求められていくでしょう。
一部では既に、混雑していても遅延が起こらないためのさまざまな改善策が講じられています。
たとえば、Segwit(セグウィット)という仕組みを導入し、ビットコインのトランザクションデータ自体を小さくして、ひとつのブロックに書き込めるトランザクション数を増やそうという取り組みがあります。
Segwitは2017年にアクティベートされて以降、着々とトランザクションの割合を伸ばしています。Segwitに対応したウォレットも順調に増えてきているので、今後Segwitの利用が増えていけば、トランザクションの混雑が起こりにくくなるでしょう。
そのほか、ビットコインの支払いを高速で実行できるLightning Network(ライトニングネットワーク)の実用化も進んでいます。ライトニングネットワークは、送金する2者間の取引をオフチェーン(ブロックチェーンの外側)で実行することにより、ブロック承認にかかる時間を待たずして送金が可能となります。
このように、多くの企業や技術者の手により、ビットコインの決済時間を高速化する仕組みが次々と実装されつつあります。さまざまな技術革新を経て、ビットコインの決済時間は、今後もっと速くなることが予想されます。
このブログを定期購読する
ブログを定期購読して、
最新情報をチェックしましょう。
執筆者
Liquid編集部
Liquidに関する様々な情報をお知らせします。